プラチナの誘惑
「…知り合い?」

低い声の昴は、ゆっくりと私達に近づいて来て。

「近いし」

ぼそっと言いながら私の腕をつかんだかと思うと
私の体は昴の後ろに回された。

「…昴…?」

慌てて、昴の後ろから顔を出すと、驚きながらも口元が笑っている真田さんと目が合った。

「知り合いなのは彩香さんのお母さんですよ。
昔病気でお世話になったんです」

ふっと笑い真田さんは、昴に…というよりも私に向かって話している…?

「若い頃…病気がなかなか完治しなくて荒れてた時にも励ましていただいて。
娘さんとこうして、仕事でご一緒できて嬉しいです」

すらすらと出てくる言葉は嘘じゃないって直感でわかる。
にこやかに作る表情には作り物めいた嘘っぽさが漂ってるけれど。

「…母さんに診てもらってたって…」

「あ…。大した病気じゃないんです。
一時期聴力が落ちてしまって…。
今は完治して、ちゃんと何でも聞こえてますから」

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