プラチナの誘惑
なんだか…昴をけなしてるみたい…。
そんなつもりはないんだけど…。
少し不安になって、昴の目を恐る恐る見ると。

苦笑しながら視線を返す昴は立ち止まって

「へらへらね…。
で?続きは?
あるんだろ?」

繋いだ手をそっと離して私の頬を優しくなでた。

くくっと笑う仕草。
温かく感じる指先を感じて。
不安な気持ちがおさまっていく…。
怒ってない…よね。

「昴がどんな事してたって…設計する図面には愛情があるし…完成した物件には自信がある…。

私は好きだよ…昴の仕事に対する気持ち」

ぼそぼそ言う

「ちょっとうらやましいけど、才能だってあるし…お父さんの会社を継がなくて良かったって思うよ」

伝えるって難しい。
想いは言葉になって昴に届くけれど、ちゃんと私の意図するままに心まで届いたのかはわからなくて。

相当不安な表情をしているんだろう…。
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