プラチナの誘惑
二人の間の空気を壊すかのような笑い声をあげて昴は私を抱き寄せた。

突然の事に逃げ出す事もできず固まってる私の耳元に

「へらへら女と遊んだりもしたけど、彩香をからかってないし遊びじゃないから。

俺の仕事だけじゃなく、俺をちゃんと見て…好きって言え」

あ…。

夕べの私の言った言葉を覚えてた…。

『からかわないで』

『遊びにしないで』

昴の気持ちがわからないままにマンションに連れてこられた私が思わず突き付けた言葉たち。

「彩香の気持ちも…俺にくれ」

低く…切ない声が耳元に落とされて、体中が震える。
回された腕は、いつでも私から離れられるくらいに緩んでいて…。

拒みたければ、拒んで離れる事は容易い。

でも。

とくとくとく。

昴の鼓動の速さを温かい胸元から感じていると、昴の緊張感と本心がじんわり伝わってきて…

逃げたくない…
離れたくない…

そっと、体を昴に預けて
背中に腕を回した…。

好きだという想いをこめて。
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