プラチナの誘惑
②
結局真田さんの事を言う間もなく、プラチナ引換券の受け取りをする為に店内で待っている。
社長の知り合いが経営しているこの店は、質の高い石をたくさん取り扱っていて、専属のデザイナーの作る宝石達はかなりの評判。
雑誌やテレビでもよく取り上げられるのもあってか、いつも店内は混み合っている。
「こちらの引換券になります」
ぼんやりと綺麗な店内を眺めている私と昴の前に置かれた引換券。
カウンターの向こう側に立つ店員さんは、今回のパーティー用に特注した硝子製の引換券を置いて。
「毎年この硝子の引換券のデザインが楽しみなんですよ」
うふふと笑いながら軽くため息。
「今年のデザインは桜の花がモチーフになっていて可愛いですね」
昴と二人。
その硝子の引換券をじっくり見ると…。
名刺サイズの硝子一面に細かく刻まれた桜吹雪。