プラチナの誘惑
「それ、昴からもらったの?」

日和が視線を投げる先には私の足元に転がった鍵。
昴の部屋を飛び出してからずっと握りしめたままだった。

赤く

『sweet sweet』

と浮かぶロゴが妙に目立つ。
そして、同時に思い出すのは夕べ借りたシャツ。

思い出さないようにしても、やっぱり気になる。

昴の部屋にいたあの綺麗な人は…このブランドが好きなのかな…。
確かに私も好きだけど。

じっとキーホルダーを見ていても答えは出ないけれど、不安に思う気持ちには際限がなくて。

ため息でごまかせる量を超えてしまったように
どっと疲れも感じる…。
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