プラチナの誘惑
「…鍵…」

何もついていない鍵が、手の平の上で光ってる。
どこかで見た事のあるような…見覚えのある鍵を見ていると…。

あ…もしかして。

はっと顔を上げると、無表情な昴と目が合った。

「芽実さんから取り返したから。
もうこの部屋の合鍵持ってるのは彩香だけだから安心しろ」

「…良かったの…?
芽実さん…?しょっちゅう来てたんでしょ?」

思ってもみなかった展開に、罪悪感を感じてしまう。
今まで何の気がねもなくこの部屋に来てたのに、私のせいで鍵まで取り上げられてしまって…申し訳なさでいっぱい…。

「いい。今まで女をこの部屋に連れて来た事ないから、彩香の事逆に喜んでたし」

ふっと笑いながら言う口調は暖かくて、芽実さんの事…好きなんだろうなって感じる。

「それに」

ん?続く昴の声に視線を合わせた途端。

「…っ。…昴…」

私の後頭部をぐっと掴むと、昴は私を引き寄せた。
気づけば私の頭は昴の胸に抱えられいた。

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