プラチナの誘惑
昴はにやりと笑ってる。
唇が近づいて、暖かいキスをしてくれた。

「こんな関係だって、言わなくても…言いたかったら言ってもいいけど、わかってくれるだろ」

すごく満足げにそう言う昴は、ほらほらっと顎で携帯を指して

「とっとと電話しろ。
それと、今後一切見合いなんてするな」

強い口調だけど。

その上から命令するような声の裏側にある昴の不安な気持ちを感じた…。
目だって暗い光に揺れている。

私の受け止め方が間違ってるとは思えない。
昴にとっても、私との関係はまだ曖昧で細い関係だと感じてるんだろう。

私を好きだという昴の気持ちを、しっかり受け入れて、同じ気持ちだと。

夕べ昴の腕の中で伝えたはずだけど。

…それでも。

昴が抱えてるに違いない不安と同じ不安を、私も感じてるから…。
まだ始まったばかりの新しい関係の細さを知っているから。

にっこり笑って、真田さんに電話をかけた。

呼び出し音を聞きながら、真田さんには申し訳ないけれど…。

お見合いを全てチャラにする事を喜んでる昴を知って、とても幸せだと
感じずにはいられなかった…。
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