プラチナの誘惑
ちょうどその時、私達の前に『生姜焼き定食』が運ばれてきた。

キャベツもたっぷり盛られた生姜焼きは、見るからにおいしそうで、早速箸を手にした。

「…わ。おいしい」

たれが絶妙にからんだ柔らかいお肉は、今まで食べた中で一番おいしい生姜焼き。

会社の近くにこんなにおいしいお店があるなんて知らなかった。
いつも社食で済ませていたけれど、たまに外に出るのもいいのかも…。

「このお店も優美ちゃんに聞いたのよ。
本社に来た時よく一緒にランチしながら色んな事話したりね…」

おいしそうに食事をする逢坂さんにつられて、私も箸をすすめた。

「優美ちゃんはね、彩ちゃんだけじゃなく本社の社員の殆どを覚えてるのよ」

すごいわよね…とつぶやいて息をついて。

「単なる綺麗な受付嬢じゃない、カリスマ受付嬢なのよねー」

「カリスマ…」

もう一つ逢坂さんの言葉をしっくりと理解できなくて、じっと耳を傾ける


優美さんへの黒い感情で溢れる心は、これ以上逢坂さんの話を聞かない方がいいってシグナルを出す。

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