プラチナの誘惑
「結婚式で思い出した。
どうして昴欠席なの?
来てよ。
昴が来たら喜ぶ女の子いっぱいいるのに。
元彼がこんなに格好いいって自慢させてよ」

相変わらず昴の腕に手をかけたまま強い口調でせがむ優美さん。
苦笑しながらため息をつく昴も、どこかそんな優美さんを優しく受け入れてるように見える…。

あぁ…やっぱり二人はちゃんと付き合っていたんだな。
漂う空気感がどこか密な閉塞感を伴っていて…。
私には踏み込めない視線のやり取り…。

「…行かねえよ」

あっさりと言いながら、優美さんの手をそっと外した昴は、私を窺うように見た。

…でも、昴が何を私に言おうとしてるのか、何を私に求めているのかがわからなくて、ただ二人の前に立ち尽くすだけ…。

確かに、今はもう付き合っていない昴と優美さんだけど。
昴にとっては忘れられない人…だと思う優美さんへの感情はどういうものなのか。
気になる。

私を大切に思ってくれている事も、私が昴の事を好きだという気持ちをしっかり受け止めて、同じ気持ちを返してくれているのもわかってるけれど。

昴の中の私のいる場所以外に存在する優美さんを意識せずにはいられない…。
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