プラチナの誘惑
「それでも…私だけの昴っていう印と自信が欲しい…」

俯いて語尾が段々小さくなりながら…。
とにかく気持ちを伝えようとした。
昴を愛して、愛されて。
その気持ちが大切なもので絶対不可欠だとわかるけど、人は欲深い…。

野崎さんと柚さんのように、小さな隙間もなくお互いを大切にしながら、暖かい空気で余計な感情を排除した関係に憧れてしまう。

「マリッジリングが薬指に光るだけで、昴を独占できる気がするし…。
他の女の子の気持ちが揺れても、揺れるだけで消えてくれそうだから…。
…マリッジリング…はめるの嫌?」

そっと見上げる先にある昴の表情をうかがうと、
複雑に目を細めていた。

笑ってるのか困ってるのかわからなくて…。

「昴…?」

「指輪してもしなくても、俺は彩香のもんだから心配するな。
でも、指輪一つで彩香が喜ぶならはめるから。

…ゴールドは派手だから、プラチナにしてくれよ。
こないだジュエルホワイトに結構あったしな。
今日創立記念パーティーの後にでも見に行くか?」

私の頭をぽんと叩いて。

ニヤリと笑った昴は、今までになくさっぱりとした笑顔。

「…そっか。彩香はそんなに俺の事が好きなんだな?
指輪はめさせて俺を縛って独占したいんだな?
俺を他の女に取られなくなくて、必死なんだな?」

くくっと軽く笑うと、私の目を覗きこんで
『そうだろ?』
とでも挑戦してくるみたいに口元を上げた。

「そ…んな事…」

腰をぐっと引き寄せられて、慌てて昴の胸を押すけれど全く敵わなくて。
昴の両腕の中に包まれる。駅に近い道で…人通りもあるのに…。
恥ずかしくて心臓の音が大きくなる…。
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