プラチナの誘惑
「書けたか?」

机に広げられた写真を睨みつけるように凝視している彩香の背後から声をかけると、ビクッと大きく肩が揺れると一緒に

「ひゃっ」

とおかしな声が聞こえた。

「…悪い。驚いたか?」

慌てて謝ると、彩香は軽く息をついて振り向いた

「びっくりさせないでよ…。
あ…コメントだよね。
残念ながらまだ書けてない。

この写真整理してから考えようと思ってたんだけど…。
昴のコメント置いてってくれれば今夜中には考えておくから…。
ごめんね」

疲れた表情で謝る彩香は、時間を惜しむように仕事を続ける。

机の上に広げられた写真をのぞくと、それは全て相模さんのこれまでの作品。

「相模さんの…だよな?
どうするんだ…こんなに」

「今度、建築協会の会報で相模さんの特集組むらしくて。
宣伝部にある資料もいくつか出すんだけど…。
どれもこれもいい作品だから。

建築家としてすごい人だとは知っていたけれど、実際並べてみると本当すごいね」
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