プラチナの誘惑



どうしてこんな展開になったのかわからないまま、慌てて仕事に区切りをつけて。

待っていた昴に連れて来られたのは、趣のある外観が私の興味をそそる…

「一応居酒屋だから」

タクシーで10分ほど。

おりた途端、まるで古い洋館がそのまま残ったかのような建物に立ち尽くす私に、予想していたみたいな苦笑いを浮かべた昴。

「酒も料理もうまいから。期待してろ」

私の背中に置かれた手に一瞬はっとして、昴の目を見上げると

「…ここは俺のお気に入りだから、内緒な」

低く甘い声が耳元で囁かれて、ぐっと腰を引き寄せられたと同時に感じる首筋の痛み。

「…痛いっ…」

「…この店、男の店員多いから。ちょっかい出されないおまじない」

え…?

痛みを感じた首筋に手をやると、くくっと笑う目が私を見つめてきた。
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