プラチナの誘惑
「うわぁ…」

棒立ちになって見つめる先には、色とりどりの絵。

パステルカラーで統一された店内は、外から見て思っていたイメージとは全く違う世界をつくっていて、裏切られた喜びでいっぱいになった。

壁一面に並んだ絵は様々な大きさでタッチも違うけれど、全て明るい色で統一されている。

テーブルにつくのも忘れて、じっと見入ってしまう。

大学の時に描いてた絵を思い出すな…。
単純に描きたい…表現したい作品だけに気持ちを注いでいた頃。

好きな色好きな形好きな風景。

心とキャンバスが一致していた…。

色づかいが目立つデザイン画を食い入るように見ていると、隣りに立った昴が

「彩香のそんな必死な顔、久しぶりに見た。
会社じゃ見せないもんな」

「…」
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