プラチナの誘惑
「カウンターでいいか?
混んでるから…」

「…いいよ」

相変わらずいつもと変わらない昴の隣に座ると、さっと置かれたお水と熱いおてふき。
出された左手を見ると、店員の男の子が笑っていた…。
背が高くて整った顔…。
あれ…?

「もしかして…央雅くん?」

見覚えのある顔に、思わず大きな声が出てしまった。

「久しぶり。彩ちゃんと会うのって二年ぶりくらい…?
相変わらず絵描いてるの?」

「絵は趣味程度…。仕事ばかりの毎日だよ。
央雅は医学部に進学したんでしょ。
すごいね」

「まあな。大変だけどなんとかやってるよ」

「あ…芽依ちゃんは?
結婚式で会って以来だけど」

「元気だよ。去年子供産まれて幸せ満喫中。羨ましいよ」

そういう央雅の顔もにやけていて嬉しそうに笑っている。
顔の良さで目をひく上に頭もよくて、両親と同じ医者を目指して医学部に進学した幼なじみ。

歳が七歳離れているせいか、弟のようにかわいがってきた。


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