プラチナの誘惑
「彩香?日曜のお見合いの話聞いたけど、本当にするの?」

「あ…」

「母さんの押しが強いのわかるけど、無理に行く事ないのよ?

彩香が嫌なら私が母さんに言ってあげるし」

一気にまくしたてる姉さんの声は結構大きかった。
隣の昴に聞こえたんじゃないかと気になってしまうけど、相変わらずのんびりと飲んでいて気づいてないみたい。

「姉さん…今お店だから…ちょっと待って」

長くなったら嫌だなと思いながら席を立った。
ちゃんと話すまで姉さんが諦めるとは思えない。

酔って昴を意識し過ぎる気持ちにも一拍置きたくて。

「昴ごめん。姉からなの。外で話してくる」

軽く笑ってその場から離れた。

片手を上げて了解と合図してくれた昴の目が少し厳しくて気になったけれど…。
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