プラチナの誘惑
お店の外に出て小さくため息。
住宅街にあるお店の周囲は静かで、あまり大きな声は出せないな…。

お見合いは、母さんが持ってきた話で。
私も一度は受けたけどやっぱり迷っているから…どうしようか決めかねてる気持ちをどう姉さんに伝えていいのかわからない。

「…もしもし姉さん…。
お見合いするって一度は決めたんだけどね。

私…」

「迷ってるならやめなさい。
まだ若いんだから急いで結婚する事ないのよ。
母さんは彩香を心配し過ぎるのよね。

まだ結婚を目標に生きるなんて早い早い」

さすが弁護士…。
口調の滑らかさに、私は何も言えずに聞いてるだけで…。
小さな頃から私よりも何もかもが優れている姉さんには、大人になった今でさえ…。

「でも姉さん。
私…今までちゃんと恋愛した事もないし、お見合いでもしなきゃ誰も私に気づかないんじゃないかなって思ってるんだ」

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