プラチナの誘惑
しばらく黙っていた昴だけど、肩に置かれた手にぐっと力が入ったかと思うと、

「…次はもう一緒には
来ないのか?」

「…?」

「週末見合いなんだろ?」

一気に低くなった声と
震える瞳に捕らえられた私は身動きが取れなくて…。
心臓がどくどく暴れる音と、近づく昴の吐息を感じる以外できなくて。

何度目かのキスから逃げる事もしないで…。

あっさり罠にはまってしまったように…そっと目を閉じた。

唇に感じる昴の熱は、そのまま私の体に入ってきて。

ゆっくりと…昴の首に腕を回して。

慣れないキスに必死に応えていた…。

「彩香…」

呟く昴の気持ちはわからないまま…。
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