プラチナの誘惑
やっとの想いで仕上げた図面のチェックを終えてほっと息をついた。
遅れれば明日の土曜も休日出勤するはめになる。
休日出勤には慣れているけれど、彩香との約束があるせいか、今までになく集中力を発揮して仕上げた。
時計を見ると22時。
昨日の今頃は彩香と二人で飲んでたな…。
一日中、気を抜く度に思い出していた彩香の唇や背中に回してきたためらいがちの指先。
俺のキスに戸惑う瞳が尚更気持ちを煽ってる事には気づいてないんだろうな…。
恋愛経験は乏しいと、かなり前に同期の奴らと飲みに行った時にぼそぼそと言っていたのは本当だとわかって、思っていた以上に独占欲も生まれてくる。
は…。
今頃動き出した俺には、彩香を自分のものにできる奇跡は残されているのか?
ニューヨークで見かけた姿に惹かれて、気持ちを全て持っていかれた時に本心をごまかさなければ…。
今は変わってた…はず。