プラチナの誘惑
「森下はそれほど営業に興味はなかったらしいけどな。
決まれば従うしかないから」

「…小椋さん、よく知ってますね。
営業と仲いいんですか」

俺、ちゃんと冷静に話せてるんだろうか…。
毎日同じビルで働く安心感に頼っていた今までに気づいて愕然としている気持ちを、ちゃんと隠せているだろうか…。

小椋さんは、俺の言葉に
さほど感じるものはないように軽く口角を上げた。

「森下と仲のいい同期がいるからな…」

「…?」

「いや。森下と違って猪突猛進の女が俺の課にいるからつつぬけだ」

苦笑しながらも、普段の小椋さんには見られない温かな笑顔を浮かべている…。
穏やかに。優しく。

「猪突猛進…?」

戸惑いながらも小椋さんの課にいるメンバーを頭に浮かべると…真っ先に出てくる顔。

「あ…日和…?」
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