プラチナの誘惑
何でもないって事はないだろう表情に、違和感を覚えていると、

「結婚しろと言った覚えはないんだけどな…。
単純な女だからな」

くすくす笑う小椋さん。
日和と仕事でもめてるのか?

「結婚っていえば、先月結婚退職した受付の女の子と…つきあってなかったか?」

「…っ…」

突然さらっと投げられた言葉に息を止めてしまう。
何を…。

「今頃何言ってるんですか…。
一年以上前に別れてます」

そう。
受付嬢だった優美とは半年ほどしかつきあっていなかった。

二人でニューヨークに旅行に行って。
楽しむどころか二人の違いが明らかになって、帰国してすぐに別れている。

入社した時受付にいた優美を見て、綺麗な女だなと思って。
一つ年上だった優美にしても、俺の見た目と親の会社に惹かれて。



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