プラチナの誘惑
｢で…小椋さんは結婚しないんですか？｣

優美の話をするのが面倒で、小椋さんに話をふると、そんな俺の気持ちを見透かしたように口角を上げると

｢する。ま、もうしばらくはいろいろ楽しむけどな…｣

何がおかしいのか、くくっと一人で笑いながら…誰かを思い出しているように目を細めていた。

｢…いい結婚したら、仕事の幅も広がるからな。
相模がいい例だ。

昴も、頑なにならずに
いい女といい結婚しろ｣

じゃ…。
と小椋さんは軽く手を上げて、自分のグループに戻っていった。

いい結婚…。
いつかはしたいと思うけれど、父親の会社目当ての女をあしらううちに、そんな事は無理じゃないかと諦めもある。

見た目から入ってくる事は悪くない…。

けれど、俺の本来の姿を知っても尚側にいたいと言う女はほとんどいない。

いつか、それなりの結婚をするにしても、いい結婚をするにしても…。

そう考えた時に浮かぶ顔を消す事ができないいらだたしさと。

優しくなる気持ちにどう
折り合いをつければいいんだ…。

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