涼×蘭
ぐーー……。

「薫腹の音でけぇ……」

「に"ー……」

なんていうか俺史上最大級の音だった……。

「なぁ何でこいつ猫みたいな声あげんだ? こいつ猫なのか?」

あー輝って人もメルヘンだなー……。

「いや……。でも一応人間であることは間違いない」

「え"?!」

「あ、三人ともお疲れー」

輝が涼の「人間であることには間違いない」という言葉に驚いたのと同時に楓が裏に入ってきた。

「お腹減ったぁ……」

厨房から立ちこめる良い薫りに、蘭が堪え切れず、お腹を抱えたまま机に突っ伏している。

「俺は喉渇いた……」

「俺も……」

「はい、まかない」

初日からいきなり賄いが出るミラクル(・∀・)

楓が机の上に料理を置く音とともに、蘭がピクリと動いた。

「良い匂いするー!!」

「うわ?! びっくりした……」

蘭がいきなり起き上がったのだ。

「あ、輝、髪おろせば? 暑いだろ?」

ちなみに輝はカツラだ。
長い髪では不自由だから。
お客さんに嫉妬されちゃったりとか。

「別に……」

すっげー暑そうなんですけど?

「輝おろせって。無理すんなよ」

「無理してねぇし……」

「うそつけー汗だくだぞー?」

マラソンで走った後みたい。

今までよく汗かかなかったなぁ……。
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