涼×蘭
「はいはい。父様うるさいから出てって」

そう言いながら涼はお父さんの背中を全身で押す。こうでもしないと押せないくらい涼のお父さんはでかく、尚且つ涼の体重が無さすぎるのだ。

「えー!? いーじゃーん! 蘭くんと話させろよ!」

「後でね。今テスト勉強してるからさ」

「分かった。じゃぁ、その前にパパが二人にちゅーしてあげるね!」

「……」

語尾に☆マークが付きそうなテンションで話し掛ける涼の父様と全力で無視する涼。

「ちょ! 待って! ちゅーは嘘! だからパパのお話聞いて! 今日病院でね?!」

鷹は必死になる父様から呆れ顔で目を反らし、涼はそのまま押し出し続ける。

「はいはい。後でね」

「うわっ! 涼も鷹も酷い! おわっ?!」

ダンッ! という涼のお父さんが倒れる音と共に、タンッと襖を閉める音がする。

「ふぅ……」

「涼のお父さん何言いに来たの……?」

「あ。聞いてなかった」

「えー……」

「馬鹿ですねぇ……」

「……うっせぇ」

鷹に言われたのではさすがの涼も言い返せない……鷹はバカじゃないし。

「それじゃぁ、勉強頑張って下さいね」

「え? もう部屋に戻るの?」

「えぇ。今日はもう眠いので」

「おー」

それに二人の邪魔はしたくありませんし。
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