涼×蘭
「逃げて……ない」

「ふーん? でもさ、涼様だって遊べないんだよ? 父様や母様は仕事でなかなか涼様と遊べない。

涼様、君にせがまなかった? 遊んでー! って」

「………」

たしかに……裾を物凄い引っ張られながら言われた……。

「ね? あの涼様のことだから威勢が良すぎたんじゃない?」

「……」

いつの間にか顔を覗き込まれて、こう言われる。

「頑張れそう……?」

「……っ」

肩口に顔を埋めて、また涙が溢れてくる……。

「よしよし……」

優しく頭を撫でられる。

「よく我慢したね、これからたくさん遊べるからね」

「うん……っ」

「涼様も一緒に遊ぼうね?」

「うんっ」
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