涼×蘭
「あ、やっぱり?」

「それがなんですか?」

蘭の兄さんが涼の傍に近寄る。誰にも聞えないように、涼に呟く。

「羨ましい?」

「別に羨ましくなんか……」

「蘭は馬鹿だから、正直な方が得だよ?」

と、意味有りげな笑いを残してそのまま玄関へ向かう。

「兄ちゃんどこ行くのっ!?」

「バイト。ついでに夕飯買ってくるね」

「何時に帰ってくる? 何時? 何時?」

蘭が葵に飛び付かんばかりの勢いで帰りの時間を聞く。葵はそんな蘭の頭を軽く撫でにっこり笑って返す。

「今日は7時までだよ」

「うに゙ー……分かったぁ」




「俺あの人どっかで見たことある気がするんだよねー……」

「あ、俺もー」

「雑誌だろ……」

「え?」

「雑誌? 何の?」

「分かんねぇけど……この前本屋で見た」

平積みになっていた雑誌の表紙に「剣ヶ峰」葵って書いてあったから、剣ヶ峰っていう名前に反応してしまう……あんなに小さい字だったのに……。

「剣ヶ峰の兄貴って何かやってんの?」

「え? 大学行ってるよ?」

蘭のお馬鹿w

「バイトは?」
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