涼×蘭
「……あ」

黒猫だ。可愛い……。
涼って猫飼ってたのか……そんな話一言も聞いたことなかったけど。

「……おいで」

猫に向かって手を伸ばしてみる。すると猫は少しずつこちらに向ってくる。手が届く一歩手前まで来て止まってしまった。

「どうした……?」

微かに震えている。怖いのか……?

「大丈夫。怖くない……」

自分から近付かない、無理に近付いて逃げられるのはどうも苦手だ……。

なるべく低い体勢で黒猫が来るのを待つ。

小さな鈴の音をたてながら俺に飛び込んできた。

「よしよし」

猫独特の柔らかい毛を撫でる、気持ちいいのか喉をゴロゴロさせている。

可愛いな……。
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