涼×蘭

カランコロン‥−

下駄をカラン、コロン、と鳴らしながら歩く。夏だなぁ〜。

「そういえば蘭、お兄さんと花火に行かなくて良かったの?」

「なんで?」

「いや……何となく」

あのブラコンだったら、蘭と花火を見に行こうとしてもおかしくない。というか、蘭と花火を見に行こうとして、花火の話題を出したのではないか……?

「大丈夫だよ? 兄ちゃんには彼女いるし」

「ふーん……かの……え?! 彼女?! あの人彼女いるの!?」

俺の聞き間違えか?!

「いるよ? 兄ちゃんと同い年ですっごい綺麗なの」

「へ……へぇ……」

まぁ、あの人、モデルをやっているだけあって見てくれは綺麗だし……性格はよく分からないが蘭のこの兄に対する懐き度からすると優しいみたいだし……?

「ていうか行こうって言われても行かないし……」

「何で?」

「だって涼と来たかったんだもん!」

「……」

そんなに可愛いこと言われたら恥ずかしくなる……。
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