涼×蘭
「さ、早くご飯を食べなさい。涼達の浴衣を洗濯しなければならないんだから……」

「これって洗濯できるんですか!?」

「当たり前じゃないですか。洗濯不可能な衣類を蘭に貸すわけないでしょう」

絶対に汚して帰ってくるからね。

「その前にこの家に洗濯不可能な着物ってあんの?」

「お正月に着てるやつは洗えませんよ?」

なんてったって正月の朱牡丹一家の男性は黒羽二重・染め抜き日向五つ紋付きの着物と羽織、それに仙台平の縞はかまだ。女性は黒留袖か振袖だが。

「へぇ……」

涼も知らなかったんだ……。

「涼は知らない事が多すぎないですか? 自分の事なのに……」

「馬鹿にすんな。蘭よりは知ってる」

当り前だが。

「ぬゃあ?」

蘭はもう、うどんを食べている。
どんだけ空腹だったんだ……。

「いただきます」

俺も食うとするか……。
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