涼×蘭
玄関で靴に履き替える。
コンバースの黒に白の紐の通ったスニーカーだ。
え? 普通すぎ?

普通すぎくらいでちょうど良いだろう……。

「どこ行くの?」

「散歩」

玄関まで見送りに来たものの、外の雨を見た楓は、雨なのに? と問い掛けた。

「雨でも良いの」

「そうなの?」

「うん」

「ふーん……いってらっしゃい」

輝は傍にある濃紺の、蛇の目傘に似た傘を手に取り扉を開け、楓に向かって一言。

「行ってきます」
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