涼×蘭
「そいえば鷹さん居ないのは何で? 珍しくない?」

「ん? なんか鷹も友達と旅行に行ってるって」

湯上がりの蘭の髪から滴がポタリ、と落ちる。
全く髪くらいちゃんと拭けよな。と蘭の髪をわしわしと乾かす。

「んに゙ぁっ!?」

「髪くらいちゃんと拭けよ? 風邪ひいたらどうすんだ」

下手したらお兄さんが飛んで来かねない……。

「うぬ゙ぅ……」

と、大人しく拭かれ続ける蘭。なんだか拾った子猫の世話をしているみたいだ。

と、そこへ聞き慣れた声が。

「……失礼します。今よろしいですか?」

「お帰りー」

「ふぉっ! 鷹さん!」

と入ってきたのはVネックで鎖骨を強調し、細身のジーパンというスタイルが良くなきゃ格好付かない、なんとまぁ素晴らしい出で立ちの鷹。スーツ以外の鷹なんて久しぶりじゃないだろうか?
そして鷹は口を開きいつも通りの言葉を投げ掛けた。

「ただいま戻りました。蘭は相変わらず、小さいですねぇ」
< 696 / 766 >

この作品をシェア

pagetop