涼×蘭
「溜まってる……?」

「いや、大丈夫」

「本当?」

「うん」

「俺は溜まってる……」

「え? ちょ、ま……っ」

突如、悠斗の顔が近付き、唇を奪われる。涼以外の、懐かしい、感触。俺の初めてのキスは中二の頃の悠斗。しかし、俺は悠斗とは付き合っていない。

「悠斗、待て」

「……何で?」

「何でもくそもないだろ? 付き合っていないんだし。眠いし」

「中学の頃は許してくれたでしょ?」

と、もう一度キスをせがむ悠斗を片手で押し返す。

「俺はもう真面目になったんだよ」

「……」

「な?」

「駄目」

俺の手を振り払い、悠斗が俺を押し倒そうとする。

「いや、だから、ちょ、待てって!」
< 709 / 766 >

この作品をシェア

pagetop