涼×蘭
「そ、それは……」

言葉に詰まる俺に百合はほらね、言わんばかりじゃない。という表情を浮かべる。すると、今まで黙っていた雛が口を出した。

「もう、二人とも喧嘩しないの! 一輝は方向音痴だから! ね?」

今日の雛の格好はクリーム地にくすんだ赤い薔薇のブーケがたくさん描かれたサンドレスに白い半袖のボレロ、三つ編みとドレスとおそろいのリボンに、斜め掛の鞄を掛けている。

「いや、だから方向音痴じゃなくて!」

「この前の水族館も迷ったでしょ?」

「いや、あの……うん」

「一輝、また迷ったの?! 情けないわねー!」

「……」

……泣いても良い?
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