僕の明日みんなの明日
僕はもう一度自分が死んだ場所を見た。黙って見つめているとふと思った、僕の体はどこにあるんだろう?でも今見る勇気はなかった。今見てしまったら多分僕の心が壊れてしまう。

あれこれ考えている内にだんだんここに居るのが辛くなってきた。どこに行こう?いつもなら学校に行っている時間だ。

学校…?そうだ学校に行こう。学校に行けばみんなに会える。文雄はどうしてるだろ、西高さんは僕が死んだと知ってどんな反応をするだろう?僕は少しふらつきながら家を出た。

学校に向かう途中で自分の体の変化に気付いた。こんなに太陽が照っているのにちっとも暑くない、汗が一滴を流れない。この時少し幽霊は便利だと思った。他に色々気付いた。塀とか薄い壁なら通り抜けれど、道路とか厚い壁やガラスでできているものは通り抜けれない。他にも色々試しながら学校へ歩いた。

いざ学校に着いたけど、誰ひとり僕に気付く人はいなかった。何人もの人が僕の体を擦り抜けていく。こんなに沢山人がいるのに僕は独りきりだ。どんな大声で叫んでも誰ひとり振り向いてさえくれない。

虚しいってこういう事を言うんだね。せっかく来たけど帰ろうかな…、教室に行っても誰にも気付いてもらえないし。ふと横を見ると向こうから歩いてくる文雄を見つけた。

『文雄!!』

つい呼んでしまったけど、やっぱり僕の声が文雄に届くことはなかった。バカなことしたな…あれ?なんか文雄の元気がない。いつも元気なのが取り得みたいな文雄があんなに落ち込むなんて…。気になったから追いかけて教室に向かった。
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