僕の明日みんなの明日
気のせいかな?一瞬目が合ったような。けど、柴原歩の視線はすぐにハズレてクラスに向けられた。

『初めまして、千葉県から来た柴原歩です。よろしくお願いします。』

柴原歩は挨拶した後、僕の席の後ろに座った。しかし、みんなはどう反応したらいいか困っていた。僕のことがあるから素直に転校生を歓迎することができないみたいだった。

僕は転校生にも迷惑をかけてしまったらしい、本当に僕はどうしようもないな。死んだ後も沢山の人に迷惑をかけている。

もうここに居るのも嫌だ、ホームルームが終わったらお父さんの所に戻ろう。

チャイムが鳴り休み時間になって僕は教室を出た。階段を降りている途中、有り得ない事が起こった。

『大石浩太君ってお前のことだろ?』

『えっ!?』

今呼ばれた?僕を?なんで?

『そうだけど…僕のこと見えるの?』

『はっきりとな。ちょっと俺について来いよ。』

僕は訳の分からないまま素直に柴原歩について行った。柴原歩に連れられて人がいない非常階段下に移動し、そこで色々話をした。

『お前って何て言うか、気の毒だよな。こんなに早く死ぬなんて。』

『うんまぁ、しょうがないよ。死んだことを今更嘆いても意味無いし。』

『自分が死んだってのに「しょうがない」ってお前あっさりし過ぎ。今まで見た幽霊は死んだことをなかなか認めようとしない上に人の話を全く聞かない様な気味悪いやつばっかりだったぜ。』

『そうなんだ?僕は幽霊に会ったことないからよく分かんない。歩君って色んな幽霊を見たことあるの?』

『ああ。けどお前みたいなタイプは久しぶりだな。』

『…?そうなんだ。ところでそのお前って呼ぶの止めてくれないかな?なんか感じ悪いよ。』

『そうか?じゃあ浩太って呼ぶな?浩太も俺のこと歩って呼べよ。』
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