僕の明日みんなの明日
これでお父さんとお母さんが別れた理由が分かるかもしれない。あの時は「離婚」の意味もよく分かっていなかったから深く追求することができなくて結局何も分からないまま現実を受け入れるしかなかった。

でも、今度は違う。僕が調べるんだ、僕が答えを探すんだ。

だけど、歩君の考えはさっぱり理解できない。離婚の原因を調べるにしてももっと他にやり方があったんじゃないかな?そう思いながらも僕は歩君の言った通りにお母さんの家に向かった。

お母さんの家は僕の家からそう遠くじゃない。電車に乗って、少し歩いた所にある。

幽霊だからもちろん電車代はタダ。こういう時は本当に幽霊って便利だな、これだったら世界中好きな所にタダで行ける。な〜んて幽霊のくせに旅行なんてバカバカしいね。

降りる駅を間違いないように電車を降りて僕はお母さんの家に向かった。この辺りは似たようなマンションが多いから初めて来た時は何度か間違えていたけど今はちゃんと分かるようになっている。

お母さん達はこの2・3年前に出来たばかりの白くて大きなマンションの7階に住んでいる。

マンションに着いたまでは良かったけど、マンションの入り口はオートロックになっている。オートロックの自動ドアを開くことができないし、ガラスでできているから僕はすり抜けることもできない。

自動ドアの前で待つこと30分、このマンションの住人らしいスーツ姿の女の人が鍵でオートロックを解除してくれた。ついそのまま一緒にエレベーターに乗ったらその女の人はお母さんが住んでいる階より下で止まった。

女の人はそのまま降りた。エレベーターの扉が閉まり、僕はお母さんの部屋がある階のボタンを押そうとした。けれど、僕の指はボタンをすり抜けてしまってボタンが押せなかった。

仕方なくエレベーターの扉のガラスの部分を避けながらエレベーターを降りた。そこから階段でお母さんの部屋まで上がった。

お母さんの部屋の前まで来ると、僕はドアをすり抜けて部屋の中に入った。けれど部屋にはお母さんもお姉ちゃんもいなかった。もう夜の7時を過ぎているのに何処に行ったんだろう?

しばらく待っていたら30分ぐらいでお母さんたちが帰ってきた。どうやら二人で外食をしてきたらしい。
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