僕の明日みんなの明日
人が余りいない電車に揺られがら僕はお父さんとお母さんのことを考えていた。なんで二人は離婚したんだろう?

僕には二人がとても仲が良かったかどうかは正直分からない。でも、仲が悪いとは思わなかった。僕が子供だから?だからお父さん達の気持ちが分からないのかな。

だけど、僕にだって人の気持ちを感じることぐらいできる。その人が怒ってたり、哀しんでいるかどうかは分かる。そう思ったときにお母さんが時折見せる淋しい目を思い出した。

お母さんは時々僕を見て悲しそうな目をしていた。理由は分からなかったけど僕はその目を見るのが嫌だった。だからお母さんと二人でいるのが苦手だと思うこともあった。お母さんを悲しい思いをさせていたのは僕なのかな。

だったら離婚の原因は僕?でも理由が分からない。僕はお母さんに悲しい思いをさせるようなことなんてしてない。気付かなかっただけかもしれないけど、心当たりがなかった。

僕はますます離婚の原因が知りたくなった。もし僕がお母さんを悲しませていたとしたらその理由を知りたい、そしてその事を謝りたい。それには歩君が力が必要だ。僕の姿が見えて僕の声が聞こえるのは歩君だけだ。

歩君との約束の時間より3時間も早く来てしまった。当然歩君の姿は無い。スーツ姿の男性、身長の高い髪の長い女性、たくさんの人が通り過ぎていった。

とにかくじっと歩君を待った。待っている間の時間はとても長く感じ、なんども来てくれないかもしれないと思った。もし歩君が来てくれなかったら二度とお母さんの前に現れることができない気がした。あと一時間半…あと一時間…どんどん時間だけが過ぎていった。

だけど僕の心配をよそに歩君は約束の時間より30分も早く来てくれた。
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