僕の明日みんなの明日
歩君は笑顔で手を振りながら僕に近づいて来た。

『何だ、もう来てたのか。結構早めに来たつもりだったのによ。』

『僕が早く来過ぎただけだから気にしないで。』

『早くって、どれくらい待ってたんだ?』

『3時間ぐらいかな?』

『3時間!?何でそんなに早く来てんだ?何かあったのか?』

僕らは電車に乗りながら僕が見たこと、聞いたこと、感じたことを全部歩君に話した。歩君は、回りから見れば一人だからいちいち反応せずに黙って頷くだけだった。

僕の話は電車に乗っている間に終わったけど、電車を降りるまでは歩君は黙ったままだった。電車を降りて、少し歩いた所で会話は再開した。

『悪い、人が多い所で話すと変人だと思われるからさ。前に幽霊と話してたら人が結構集まったりして、大変だったことがあったから別に無視してたわけじゃないんだ。』

『気にしないで、僕もそうかなって思ってたし。』

『ところで浩太はどうしたいんだ?』

どうしたい?一瞬意味が分からなかったけど、直ぐに線が繋がった。歩君が言いたいことは僕が幽霊になっていることをお母さんに教えるかどうかだった。正直どうしようか迷う。

信じて貰えるかどうかも分からないし、信じてもらえてもお母さんには僕の姿は見えない。そのことでお母さんに惨め思いをさせてしまうかもしれない。

とりあえず僕のことは秘密にして、歩君とは前から友達だったということにした。お母さんの家までしっかりと聞きたいことを話し合い、後は歩君は僕の言葉には反応せず、言いたいことがあれば伝えてくれるということになった。

僕らはお母さんの家に着き、歩君はチャイムを鳴らした。
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