僕の明日みんなの明日
歩の世界
歩君は用があるからと言ってそそくさと先に帰ってしまった。一人で公園に座っていると、僕の前に女の人が立っていた。髪は肩ぐらいまでで、大きいパッチリとした瞳が特徴的な綺麗というより可愛い感じの人だった。

どことなく不思議な感じがする。何て言えばいいのかな?自分でもよく分からないけど、とにかくその人から目を離せない。ずっと見ていいたら急にフッと僕の視界から消えてしまった。

なんで!?幻覚?辺りを捜してみてもやっぱりいない。

『君、あたしのこと見えるんだ。ということはもしかして幽霊?』

急に背後から話し掛けられた。僕は驚いて振り返るとそこにいたのはさっきの女の人だった。

『そ、そうだけど、お姉さんも幽霊?』

『そっ!幽霊、幽霊。あたし加山桜(カヤマ サクラ)19歳、よろしく。』

『大石浩太、小学五年生だよ。』

お互いに自己紹介をした後、少し話をした。桜さんは二年前に交通事故で死んでしまって、それからずっと幽霊なんだそうだ。

『へぇ、じゃあ浩太君が死んだのは最近なんだ。』

『うん。桜さんはずっと幽霊なんだよね?どうしたら成仏できるか知らない?』

『心残りがある、からかな。この世の未練を断ち切れば成仏できるって前に会った幽霊が言ってたわよ。』

そう言われると思い当たることがあった。お父さんのことだ、お父さんのことが心配だったから成仏できないんだ。だったらお父さんが元気になれば僕は成仏できる、お父さんが元気になるのを見守ればいいんだ。

僕はお父さんのため、自分のためにお父さんが元気になるのを祈った。
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