僕の明日みんなの明日
愛しい人へ
僕たちは桜さんに会いに行った。僕たちが公園に着いた時に桜さんの姿を探したけど、どこにも見当たらなかった。

桜さんは地縛霊のハズだからほかの場所にいるはずがない。その事を歩君に話すと幽霊は自分の姿を完全に消すことができる事を教えてくれた。姿を消している間は生きているときに例えると眠っているのと同じで姿を見せるまでどんなに叫んでも声は届かないと歩君は言った。

桜さんが現れない限り話が進まない。とにかく桜さんが出てくるまでブランコに乗って待っていた。すると背後から急に声が聞こえた。

『ごめーん、来てたんだ。』

桜さんはまた後ろから声を掛けてきた。僕は驚いた勢いでブランコから落ちてしまった。その姿を見て桜さんは大笑いしていた。僕は起き上がって頭をさすりながら二人を紹介した。

『えっと、この人が桜さんでこっちが歩君。』

大笑いする桜さんに歩君はムスッとして挨拶をした。

『どうも。』

桜さんも笑いが引いてきた頃合いに歩君に挨拶をした。

『来てくれてありがとう。どうしてもあなたに頼みたいことがあったの、よろしくね。』

歩君と桜さんは握手をしながら挨拶を交わした。

『それで?桜さん、歩君に頼みたいことって何?』

僕は本題に入ろうと桜さんに話題をふった。

『それは・・・アタシの彼氏のことなんだ。アタシが死んだのって彼とドライブをしていた時なんだけど、対向車線を走っていたトラックの運転手が酔っ払っていたみたいでアタシ達の車に突っ込んできたの。それでアタシは死んじゃったんだけど、その事故で死んだのはアタシとトラックの運転手の2人だけで彼は生き残ったの。アタシは彼が生きていてスッゴい嬉しかったんだけど、彼は違ったみたい…。自分1人が生き残ったことでとても落ち込んでるの。それに彼にはアタシが見えないはずなのに、アタシがここに居るのを知っているみたいに毎日この公園に来てはアタシに謝るのよ、「お前が死んだのは自分の責任だ」って。もうそれがスッゴく耐えられないの。さっきも来てた、だから消えてたのよ。』

桜さんは頭を抱えてブランコに座った。僕には桜さんの辛さが分かる。大切な人が自分のために哀しむ姿を見ているのは心を引き裂かれるような痛みだ。あんな思いは二度としたくない。
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