僕の明日みんなの明日
僕たちは各務さんに連れられてビルの上に昇る為、エレベーターに乗った。各務さんがエレベーターのボタンを押す時に階の多さに驚いた。

『スゴいっ!歩君見てよ、このビル50階まであるよ。』

『そうだな。』

歩君は素っ気なく小声で返してきた。

『でも大丈夫かな?』

『何が?』

『だって、会社の前であんな騒ぎ立てさ。それに各務さん怒ってるみたいだよ。』

『そうか?俺は普通に見えるけど。』

各務さんの顔を見たら、各務さんに気付かれて慌てて黙った。歩君は分かってないみたいだけど、各務さんから怒りと悲しみが伝わってくる。各務さんの部屋に着くと部屋の中は広いのに机とソファーと本棚があるだけだから余計に広く感じた。

各務さんは歩君にソファーに座るように言って、その後電話で飲み物も持って来るように言っていた。電話の受話器を置いて歩君の向かい側に座って話しかけてきた。

『オレンジジュースでいいよね?それで君の言う恋人とは誰のことかな?』

各務さんの質問を歩君は直ぐに答えた。

『二年前に死んだ、加山桜のことだよ。』

桜さんの名前を聞いて、各務さんの表情が変わった。
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