僕の明日みんなの明日
各務さんは険しい目で僕たち(というより歩君)を睨んだ。

『さあ話したぞ!教えてくれ、君は誰に桜との関係や私が毎日公園に行っていることを聞いたんだ?』

『幽霊って信じる?』

唐突な歩君の言葉に各務さんはキョトンとしていた。

『何を言ってるんだ?』

『いいから答えてよ。』

各務さんは訳が分からないという顔をしていたけど、深いため息をついて質問に答えた。

『…もし幽霊がいるとしたら桜は私の前に現れて恨みの一つでも言ってくれるだろう。』

その言葉で僕の中で怒りが溢れた。

『各務さんは最低だよ!桜さんを好きだって言ったくせに桜さんのことを全然信じてないじゃないか!』

僕は聞こえないのが分かっているのに叫んでしまった。歩君は興奮する僕の肩を叩いて落ち着かせてくれた。そして僕の思いを各務さんに伝えてくれる。

『ここに俺の友達がいる。名前は浩太って言うんだけど、こいつはあんたは最低だって言ってる。あんたは桜を信じてないだとさ。』

各務さんは不思議そうに歩君に言い返した。

『君は何を言っているんだ?誰もいないじゃないか。』

『いるさ、あんたには見えないだけだ。ちなみにあんたのことは今日桜に聞いた。』

『馬鹿なっ!!桜は二年前に死んでる。幽霊になって君に言ったとでも言うのか?』

『そうだ。だから言ったろ?幽霊は信じるかって。』

『そんな、しかし・・・。』

各務さんは混乱して頭を抱え込んだ。僕はそんな各務さんを見ているとますます腹が立ってきた。
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