僕の明日みんなの明日
各務さんは沢山涙を流していたけど、笑顔で桜さんを見送っていた。

僕も近い将来この世とお別れすることになる、その時は桜さんみたいに笑顔でお別れできたらいいな?

各務さんは桜さんが成仏してしばらくその場から離れなかった。ふと歩君を見ると、眠たそうで少し足元が覚束ない様子だった。

『歩君大丈夫?なんだか疲れてるみたいだけど。』

『ああ、なんとかな。幽霊に体を貸すのはスゲー体力を使うんだ。』

『そうなんだ。でもさ、どうして各務さんは桜さんの姿が見えたのかな。各務さんも幽霊が見えるようになったの?』

『各務の場合、桜だけだ。あいつらの心が繋がったからお互いの姿が見えたんだよ。幽霊は体から心が離れて心そのものみたいなもんだから、心と心が繋がることで幽霊の姿が見えるようになるんだよ。』

『へぇ、じゃあ僕もお父さんと心が繋がれば見えるようになる?』

『繋がればな。』

心が繋がる、僕もお父さんと繋がってるかな。歩君と話が終わると、各務さんが話し掛けてきた。

『歩君、浩太君、ありがとう。やっと目の前が明るくなった気がするよ。これから桜の家に行こうと思う、申し訳なくて葬式にも行けなかったからね。二人も一緒に来るかい?』

僕たちは喜んで各務さんについて行った。
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