僕の明日みんなの明日
お風呂に入り、髪を乾かした後自分の部屋に向かった。自分以外誰も居ない家は少し不気味で部屋を出る度に暗闇が広がる。背筋に妙な寒気を感じて、飛び込むように布団の中に入った。冷房の効いた涼しい部屋で布団を頭まで被ると自然に目蓋が重くなって、僕は眠りについた。

寝ていると下の部屋からゴトゴトと物音がした。時計を見ると夜中の1時を回っている。お父さんが帰ってきたのかな?それとも・・・。僕の心臓の音がとても大きく聞こえる。この音が回りにも聞こえて自分の居場所が分かってしまうかもしれないと思うくらいだ。


キシッ!キシッ!と階段を上る音がする。こっちにくる!?足音は僕の部屋の前で止まり、ゆっくりとドアノブが回りドアが開いた。

『浩太まだ起きてるのか?早く寝なさい。』

お父さんっ!安心したせいで緊張して止まっていた汗が垂れてきた。

『お父さん、お父さんのせいで目が覚めたんだよ。』

『ゴメン、ゴメン。仕事が長引てしまってね。今帰って…』

ガチャーンっ!!

何か割れる音がした。

『お父さん今の音なに!?』

『ちょっと見てくる、浩太はここに居なさい。』

お父さんは部屋を出て音のしたリビングに行った。

まさか泥棒?どうしよう、警察に電話を…

『浩太逃げろー。』

お父さんの声が響いた。ニゲロ?にげろ?逃げろ!?何かあったんだ。とにかく動かなきゃ。僕はベッドから飛び起きて部屋を出た。

下から色んな物が壊れる音が聞こえる。僕はとにかく外に出ようと玄関に走った。

外に出ようとしたとき、僕の耳にお父さんの悲鳴が聞こえた。声の方に目を向けると血だらけのお父さんが倒れていた。

『お、お父さんっ!』

夢中でお父さんを呼んだ。けど、振り向いたのはお父さんじゃなかった。
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