僕の明日みんなの明日
さて、どうするかな。八田達は帰ったし、今ならこの幽霊と話しても大丈夫だろ。

『おい、何が言いたいんだ?』

『君僕が見えるの?』

『まぁな、てゆーかお前が姿見せてるんだろ。』

『別にそんなつもりはないよ、僕はただここで人を待ってるんだ。』

人を待ってる?ということは何か言いたい訳じゃないのか。佐藤のやつ見間違いだな、人騒がせなやつ。

それじゃあ俺も帰ろうかと思ったけど、こいつの寂しそうな目を見たら無視できなくなって話を聞いてみることにした。

『お前名前は?』

『松田貴斗(マツダ タカト)』

『俺は柴原歩、どれくらいここにいるんだ?』

『確か十年ぐらいかな。』

『十年も誰を待ってるんだよ。』

『友達。』

松田の話を聞くと、十年くらい前に友達と小学校卒業の記念にここに十年後のお互いに手紙を書いて埋めたんだと。でも、松田はその後しばらくして病気で死んでしまったらしい。それからこの手紙が気になってここで地縛霊になった。

『ということは、今年には取りに来るってことだな。』

『どうかな?埋めたのは四月だから詳しくは十年三ヶ月だからね。取りに来る気があるならもう来てるよ。』

『じゃあお前は来ない相手を待ってるのかよ!?』

『それでも約束だから。』

『相手も来ないんだから、無視して成仏しろよ!』

『でも十年もこの状態だから今更成仏なんてできないよ、気が済むまでこうしてる。』

俺は結局松田を説得することができずに最後に友達の名前を聞いて帰った、友達の名前は石原拓海(イシハラ タクミ)。
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