僕の明日みんなの明日
今日、歩君に会いに行ったら体調を崩したから遊べないと言われて会えなかった。

歩君がいないと何もすることができない。そうだ、今日はお父さんに会いに行こう。最近あんまり会いに行ってなかったらちょうどいいと思った。

病室に入るとお父さんは良くなったみたいで、体中にあった色んな機械が外されてすっきりしていた。顔色も良いみたいだからすごく安心した。僕はお父さんのベッドの横に座って最近あったことを全部話した。お父さんはなんの反応もしないけど、1人で黙々と話し続けた。

『・・・・でね、歩君って面白いんだよ。・・・お父さん、僕このままここにいていいよね?お父さんや歩君とずっと一緒に居ていいよね?』

『それは駄目よ。』

後ろを振り返ると、幽霊の看護婦さんがいた。

『どうして?』

『この世にいるのは仕方ないけど、生きている人の側にはいちゃいけないわ。』

『どういう意味?』

『霊は生きている人の生きる力を吸い取るの。それは霊の意志に関係なく側にいるだけでそうなってしまうわ。』

『そんなの嘘だ!歩君はずっと一緒にいたけど平気だったよ。』

『嘘だと思うならその子に会いに行ってみなさい、真実がわかるから。』

僕は病院を飛び出して歩君の家に行った。あんな話信じるもんか!僕が生きる力を吸い取る?そんな馬鹿な。

歩君の家に着いて黙って家に入った、悪いとは思ったけど今の僕にはそんな余裕はないよ。真っ直ぐ歩君の部屋に行ってそっと覗いてみると、歩君はベッドの上で眠っている。部屋に入って歩君の側に行き顔を見て驚いた、歩君は初めて会った時より確実に痩せている。顔はげっそりしてるし、目には隈ができてる。

僕のせい?僕が歩君をこんな姿に?僕はその場から逃げ出した。ごめん、ごめんよ。ずっと一緒にいたいだって?僕はなんて馬鹿なことを考えてたんだ。もう歩君に会えない、会っちゃいけないんだ!

フラフラとおぼつかない足取りで病院に戻った。お父さんの部屋の前に幽霊の看護婦さんが立っていた。
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