僕の明日みんなの明日
看護婦さんは僕にそっと近づいて肩に手を乗せた。

『言ってた通りだ、僕は歩君を死なせるとこだった、最低だ。』

『仕方ないわ、知らなかったんだもの。』

『知らなかったじゃすまないよ!歩君の顔、痩せててガイコツみたいだった。僕がそうしたんだ、僕は化け物だ。』

『そう自分を責めないで、幽霊なら仕方ないことなんだから。』

『ねぇ…幽霊って何?幽霊って何のためにいるの?』

『さぁ、それは私にも分からないわ。でも必要なものだと思う。』

『どうして?人に迷惑かけるだけじゃないか。』

『人がいつ死ぬかなんて分からない。最後に伝えたいことがあるのに伝わらないなんて悲しいと思わない?幽霊っていうのは神様が幽霊や残された人にくれた最後の時間だと思うの。』

伝えたいこと?そうか、言われて初めて気づいた。僕が幽霊になったのはお父さんが心配だったからだと思っていたけど、本当はお父さんに言いたいことがあったからなんだ。
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