僕の明日みんなの明日
転校生
あれからどれだけの時間が経ったんだろう?真っ暗な場所から急に明るい場所に来たような感じがする。とにかく気が付いたら僕は病院の廊下に立っていたんだ。

どうしてこんな所に?病院に運ばれたのかな?けどなんで廊下に?あれこれ考えてみたけど答えは見つからなかった。

ふと顔を上げると目の前の病室のところに「大石 拓也(オオイシ タクヤ)様」って書いてある。お父さんの名前だ!どうやらお父さんは入院してるらしい。

急いで部屋に入るとお父さんは眠っていて、いろんな機械を付けていたけど生きている。良かった、お父さんは助かったんだ。お父さんの顔を見ていたら、扉が開いて看護婦さんが入ってきた。

『僕どうしたの?こんな所で、一人で来たの?』

僕を見て少し驚いた様子で話し掛けてきた。

『あの、僕気付いたら病院に居て、そしたらお父さんが部屋で寝ていて。それであの、実は今日・・・』

看護婦さんに今日起こったことを話した。家に知らない男がきたこと。その男にお父さんが血まみれにされたこと。そして首を絞められたこと。

『僕はいつ病院に来たの?お父さんは大丈夫?あの男の人どうなったか知らない?』

看護婦さんは困ったように笑った後、難しい顔で答えた。

『あのね、言いにくいんだけど・・・君死んでるのよ?』

『・・・え?なにそれ?変な冗談言わないでよ。じゃあ今の僕はなに?幽霊ってこと?』

興奮してだんだん声が大きくなる僕に対して看護婦さんは冷静に答えた。

『その通りよ。』

何なんだこの人、僕が幽霊だって。そんな訳ない、死んだ、僕が?そんな…そんなわけない!何かの間違いだ、そうに違いない。僕は頭の中が真っ白になって訳が分からなくなった。
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