僕の明日みんなの明日
お母さんはその場で泣き崩れ、お姉ちゃんも泣き出した。二人を見ていると、本当に自分が死んでしまったんだと思い知らされる。

『あなた、どうして?なんで浩太を守ってくれなかったの。』

お医者さんと看護士さんたちは、お父さんにしがみつくお母さんを無理やり引き離した。

『違うんだよ、お母さん。僕がいけなかったんだ、僕がもっとしっかりしていたら、ちゃんと逃げていたら死なずにすんだんだ。お父さんは血まみれになるまであの男と戦ってくれた、ちゃんと僕に逃げろって言ってくれたのに。だから・・・。』

僕の声は、僕の思いは何一つ伝わらなかった。

もうどうしたらいいか分からない。何をしたいのかも分からない。ただ…お母さんごめんなさい。死んでしまって、ごめんなさい。僕はただ謝り続けた。

僕は俯いたままお母さんとお父さんの間に立っているだけで涙も枯れてしまった。しばらくお母さんはお医者さんと話をしてからお姉ちゃんと一緒に病室を出ていった。病室にお父さんと二人になると、部屋には医療器具の電子音だけが虚しく鳴り響く。

これからどうしたらいいんだろう。お父さんが元気になるまで側にいたいけど、それからは?いつまでもこのままって訳にはいかないし、その前に僕の頭がおかしくなりそうだ。

本とか漫画のお話の中だったら幽霊って成仏して天国かどっかに行くんだろうけど…どうしたら成仏できるんだろう?
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