ラブリーホーム*先生の青③
『1つ教えてあげるけど
市花ちゃんの気持ちを
ヤキモチとは
呼ばないと思うよ』
「え?」
『じゃ、もうしばらく
私のところに頼って来ないでね
こっちだって
今晩、旦那帰ってくるし
泉にうろちょろされたら
うちまで、とばっちり』
「なんだよ、その言い方」
確かにカナの旦那、
藤崎さんには
嫌われてっけどオレ
『いい?
あんたのその
下らないヤキモチなんか
妬くなよーって
なめた気持ちが
市花ちゃんに
透けて見えてんだから
考え方を改めなさいよ
そんなに好きなんだから
気持ち押し付ける
ばかりじゃなく………』
カナはそこで言葉を切り
『やめた。馬鹿馬鹿しい。
ガキじゃないんだから
ううん、ガキだって
分かることだよ』
「え?途中でやめるなんて
趣味わりーぞ」
『じゃーね
しばらくさようなら』
プツン
ツー、ツー、ツー
だから
肝心な事を言わずに切るな
「ちくしょー、バカ女め」
ケータイを机に置き
後ろ頭で手を組み
背中を反らして
天井を見上げる
………ヤキモチじゃない
なら、やっぱり郁弥の事で
怒ってんのか?
いや、でも
イチはカナがうんぬんって
怒ってたよなぁ
「……ヤキモチだろ
やっぱり」
なんで 分かんないんだろ
イチがオレを想うより
オレがイチを想う
気持ちの方が大きい
付き合う前から今まで
いつだって
オレがイチに
ちょっぴり片想いしてる
状態なのに
………不安になるのは
むしろオレの方だ
イチの分からず屋め