ラブリーホーム*先生の青③




……ああ、嫌だ
こんな ちっちぇことで
グチグチしたくない


生徒が作り上げる
作品を見た時
感動するじゃないか


例え、本人の好きな物じゃなく
賞狙い見え見えの
作品だとしても


それで いいじゃんか



「………イチ?」



隣を見ると
イチがこめかみ押さえてる


「頭痛?」


そう訊くと
眉をギュッと寄せて


「うん、少し」


「風邪?それとも肩こりかな」


イチの背中の
ヨダレで風船作る青波が
目に入る


「違う。大丈夫」


「薬飲んで寝れば?
郁弥が来るの来週だし」


「うーん。でも、青波」


「オレが見てるって」


「でも、お昼ごはん」


「適当にやっとくから
掃除はあとにして
イチは休めって
せっかくオレがいるんだし」



イチはなんだか
不安そうな視線を
オレに向ける


「なんだよ
オレに青波を
預けるのは不安か?」


「……うん、とっても」


「ふざけんなよ」


笑ってイチの背中から
青波をはがし



イチの背中が
そんなに好きなのか
青波は「まぁあ~」と
嫌がった



イチは青波を見て
苦笑いしながら
窓を閉め
アトリエを出た




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